有機質肥料WEB資料館

新有機質肥料講座(総論編)ページ7/57

スライド7:無機化に及ぼす地温の影響

1-4 無機化に及ぼす地温の影響

土壌中で窒素の無機化を担っているのは言うまでもなく土壌に生息している微生物です。微生物活動は温度の影響を受けるため、地温は無機化に大きな影響を及ぼします。図7-1は、ぼかし肥と菜種油かすについて、畑土壌で、培養温度を変えて行った無機化試験の一例です。グラフAの25℃と10℃における窒素の無機化率の推移を見ると、10℃では25℃に比べて無機化が遅くなっていることが分かります。特に培養初期の無機化の遅れが顕著です。肥料の種類によっては最初の2週間程度はほとんど無機化が起こらない場合もありました。培養開始8週間目には温度による差は小さくなっていました。一方、ブラフBの硝酸化成を見ると、温度による違いが顕著に表れています。硝酸化成抑制物質を含むことが知られている菜種油かすでは、25℃でも最初の3週間は硝酸化成が起こっていません。10℃では、ぼかし肥、菜種油かすともに8週間経過後もほとんど硝酸化成を起こしていません17)
畑作物が吸収する窒素の主体は硝酸態の窒素です。冬季の作で有機質肥料のみを施用した場合、十分な肥効が得られない場合があることが示唆されます。15℃くらいを境に肥効が十分得られないと言われていまが、被覆肥料でも同様なことが言われています。現地圃場では、地温は日々変化しており、季節によっても地温は変化します。実際の圃場での無機化と肥効発現については後ほど詳しくみていきます。

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有機質肥料と有機質資材の関係 ・・・・・・・・・・ 1
有機質肥料の働きと効果 ・・・・・・・・・・ 2
第1章 土壌中での分解特性から見た有機質肥料の肥効と安全性 ・・・・・・・・・・ 3
1-1 有機質肥料の窒素無機化 ・・・・・・・・・・ 4
1-2 無機化した窒素の硝酸化成_ ・・・・・・・・・・ 5
1-3 有機質肥料の硝酸化成抑制作用 ・・・・・・・・・・ 6
1-4 無機化に及ぼす地温の影響 ・・・・・・・・・・ 7
1-5 無機化に及ぼす土壌水分の影響 ・・・・・・・・・・ 8
1-6 畑地と水田での無機化特性の比較 ・・・・・・・・・・ 9
1-7 施肥時期と窒素無機化 ・・・・・・・・・・ 10
1-8 窒素肥効に及ぼす油脂の影響 ・・・・・・・・・・ 11
1-9 有機質肥料の無機化特性(まとめ) ・・・・・・・・・・ 12
1-10 有機質肥料の窒素肥効 ・・・・・・・・・・ 13
1-11 有機質肥料の施用効果(露地) ・・・・・・・・・・ 14
1-12 有機質肥料の連用効果(ハウス) ・・・・・・・・・・ 15
1-13 有機質肥料の発芽抑制作用 ・・・・・・・・・・ 16
1-14 有機質肥料の安全性 ・・・・・・・・・・ 17
1-15 有機質肥料と亜硝酸ガスの発生 ・・・・・・・・・・ 18
1-16 有機質肥料の肥効と施用法 ・・・・・・・・・・ 19
第2章 植物による有機態窒素の直接吸収-無機態窒素だけでは説明出来ない植物の存在 ・・・・・・・・・・ 20
一部の植物が直接吸収するPEONの発見、アミノ酸や核酸は効くのか?・・
第3章 有機質肥料と土壌環境-土壌団粒を中心に ・・・・・・・・・・ 33
第4章 有機質肥料と作物品質-作物品質向上メカニズム ・・・・・・・・・・ 42
有機質肥料・まとめ ・・・・・・・・・・ 54
巻末解説(古細菌) ・・・・・・・・・・ 55
引用文献・参考文献 ・・・・・・・・・・ 56
後書き ・・・・・・・・・・ 57

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