有機質肥料WEB資料館

新有機質肥料講座(総論編)ページ2/57

2.有機質肥料の働きと効果

有機質肥料の働きと効果

有機質肥料の効果について、一般的に図2-1にように整理できます。
有機質肥料に含まれる養分は緩効的な肥効を示すものが多く、比較的安全で長い肥効を示します。長く、安定した肥効が作物生育の安定と高品質生産に寄与していると考えられています。有機質肥料は、無機肥料と違って土壌の急激な塩類濃度上昇がなく、比較的安全に施肥することができます。
有機質肥料は、動植物などに由来する有機物ですから、様々な微量要素を含有しています。一般に微量要素含有量は僅かですが、有機質と結びついた有効度の高いものであるとも言われています。
有機質肥料は、無機肥料にはないアミノ酸や核酸などの有機成分を含んでいます。土壌中の分解過程でも様々な物質が生成されます。過大評価することは慎むべきだと思いますが、限定的ながら一定の効果を示している場合もあると考えられます。
土壌には様々な微生物が無数に生息しています。土壌微生物の9割は人の手によって培養できない種類だとも言われています。土壌微生物は直接、間接に植物の生育に大きな影響を及ぼしていると考えられています。土壌中における物質循環の担い手でもあり、地力養分の本体は土壌微生物です。有機質肥料は土壌微生物を増やすことが広く認められています。
効果の持続性は難分解性有機物より劣りますが、有機質肥料は短時間で土壌団粒生成を促進し、特に大型団粒の生成に深く関わっています。
腐植酸りん肥などの腐植を含む肥料以外でも、有機質肥料は土壌の腐植の材料になります。連用によってCECが大きくなることも報告されています70)
これらの作用が複雑に絡み合って、生育や収量の安定、収穫物の品質向上に寄与していると考えられています。

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有機質肥料と有機質資材の関係 ・・・・・・・・・・ 1
有機質肥料の働きと効果 ・・・・・・・・・・ 2
第1章 土壌中での分解特性から見た有機質肥料の肥効と安全性 ・・・・・・・・・・ 3
第2章 植物による有機態窒素の直接吸収-無機態窒素だけでは説明出来ない植物の存在 ・・・・・・・・・・ 20
一部の植物が直接吸収するPEONの発見、アミノ酸や核酸は効くのか?・・・
第3章 有機質肥料と土壌環境-土壌団粒を中心に ・・・・・・・・・・ 33
第4章 有機質肥料と作物品質-作物品質向上メカニズム ・・・・・・・・・・ 42
有機質肥料・まとめ ・・・・・・・・・・ 54
巻末解説(古細菌) ・・・・・・・・・・ 55
引用文献・参考文献 ・・・・・・・・・・ 56
後書き ・・・・・・・・・・ 57

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