有機質肥料WEB資料館

新有機質肥料講座(総論編)ページ34/57

スライド34:有機質肥料の土壌化学性への影響

3-1 有機質肥料の土壌化学性への影響

先にスライド15で紹介した米澤70)によるハウスでの20作に及ぶ有機質肥料と無機肥料の連用試験土壌の化学性の変化を図34-1に示しました。
無機区の土壌pHが有機区より常に低く推移し、電気伝導率(EC)は高く推移しています。無機区は硝酸含量が常に高く、pHの低下とECの上昇をきたしたと考えられます。pHの低下、ECの上昇は無機、有機ともにみられます。これは施肥の影響と考えられますが、有機質肥料区において作付け前原土との差が小さくなっています。土壌の無機態窒素含量は、その時々で変化が大きく、長期的にみた変動は捉えにくいと思われますが、概ね有機質肥料区が低く推移しており、電気伝導率(EC)との対応がみてとれます。
最も注目できるのは、陽イオン交換容量(CEC)が有機質肥料区で常に高く推移していることです。無機肥料区は、20作目まで原土と比べて大きな変はしていません。有機質肥料区は、連用3作目から無機肥料区より高くなり、以降20作目まで維持されています。CECは、土壌のもつ化学的緩衝能・保肥力の指標となるものですから、特に塩類集積を起こしやすい施設栽培における意義は大きいと考えられます。一方で、交換性塩基類(交換性石灰、苦土、加里)の変化ははっきりしません。有機質肥料区のCECが無機肥料区より高く推移したことにより、塩基飽和度でみると無機肥料区がわずかに高く推移していました。

Copyright Seiwa Fertilizer Ind. Co., LTD All rights Reserved

前のページへ 次のページへ 引用文献ページへ(新しいタブ)
本講座全文(PDF)のダウンロード

新有機質肥料講座(総論編)トップページ 
有機質肥料と有機質資材の関係 ・・・・・・・・・・ 1
有機質肥料の働きと効果 ・・・・・・・・・・ 2
第1章 土壌中での分解特性からみた有機質肥料の肥効と安全性 ・・・・・・・・・・ 3
第2章 植物による有機態窒素の直接吸収-無機態窒素だけでは説明出来ない植物の存在
一部の植物が直接吸収するPEONの発見、 アミノ酸や核酸は効くのか?・・・
・・・・・・・・・・ 20
第3章 有機質肥料と土壌環境-土壌団粒を中心に ・・・・・・・・・・ 33
3-1 有機質肥料の土壌化学性に対する影響 ・・・・・・・・・ 34
3-2 有機質肥料と土壌微生物 ・・・・・・・・・・ 35
3-3 (予備知識)団粒構造が育む作物 ・・・・・・・・・・ 36
3-4 (予備知識)団粒ができるしくみ ・・・・・・・・・・ 37
3-5 有機質肥料と土壌団粒形成 ・・・・・・・・・・ 38
3-6 有機質肥料による土壌水分の安定 ・・・・・・・・・・ 39
3-7 多収ダイズ畑土壌の物理性 ・・・・・・・・・・ 40
3-8 有機質肥料中の微量要素分析例 ・・・・・・・・・・ 41
第4章 有機質肥料と作物品質-作物品質向上メカニズム ・・・・・・・・・・ 42
有機質肥料・まとめ ・・・・・・・・・・ 54
巻末解説(古細菌) ・・・・・・・・・・ 55
参考文献・引用文献 ・・・・・・・・・・ 56
後書き ・・・・・・・・・・ 57

 Get Adebe Acrobat Reader PDF形式のデータをご覧いただくには、 アドビシステムズ社のAdobe Reader が必要です。

Adobe Readerをお持ちでない方はAdobe社のサイトからダウンロードしてください。