3-1 有機質肥料の土壌化学性への影響
先にスライド15で紹介した米澤70)によるハウスでの20作に及ぶ有機質肥料と無機肥料の連用試験土壌の化学性の変化を図34-1に示しました。
無機区の土壌pHが有機区より常に低く推移し、電気伝導率(EC)は高く推移しています。無機区は硝酸含量が常に高く、pHの低下とECの上昇をきたしたと考えられます。pHの低下、ECの上昇は無機、有機ともにみられます。これは施肥の影響と考えられますが、有機質肥料区において作付け前原土との差が小さくなっています。土壌の無機態窒素含量は、その時々で変化が大きく、長期的にみた変動は捉えにくいと思われますが、概ね有機質肥料区が低く推移しており、電気伝導率(EC)との対応がみてとれます。
最も注目できるのは、陽イオン交換容量(CEC)が有機質肥料区で常に高く推移していることです。無機肥料区は、20作目まで原土と比べて大きな変はしていません。有機質肥料区は、連用3作目から無機肥料区より高くなり、以降20作目まで維持されています。CECは、土壌のもつ化学的緩衝能・保肥力の指標となるものですから、特に塩類集積を起こしやすい施設栽培における意義は大きいと考えられます。一方で、交換性塩基類(交換性石灰、苦土、加里)の変化ははっきりしません。有機質肥料区のCECが無機肥料区より高く推移したことにより、塩基飽和度でみると無機肥料区がわずかに高く推移していました。 |