1-14 有機質肥料の安全性
菜種油かす等に発芽を抑制する物質が含まれている可能性が高いことをみました。施肥直後に播種すると強い発芽抑制を示しました。施肥から播種までの日数を変えて試験した結果が図17-170)です。施肥後2~3週間(25℃)経過後に播種することで発芽障害は軽減されています。
表17-2は、施肥量と発芽、施肥量とサラダナ苗の活着の関係をみたものです。この試験では窒素で100~250mg/100g土壌相当量の施肥が行われています。実際の場面ではあり得ないような多肥での試験結果ですが、菜種油かすと魚かすの安全性を考える指標の一つになります。菜種油かすは、これまでみてきたように明らかな発芽阻害を起こします。サラダナ苗活着試験の結果をみると、菜種油かす、魚かすともに根部の褐変という形で活着阻害を起こしています。無機肥料である硫安や尿素でも施肥量が多ければ明らかな発芽障害を起こします。サラダナ苗活着試験では、非常に強い活着阻害を起こしています。地上部の障害は、明らかに有機質肥料より強く現れています。土壌の電気伝導率(EC)は、硫安や尿素では明らかに高い値となっています。確かに菜種油かす等には発芽抑制物質を含んでいるようです。しかし、施肥から播種までに2週間以上の時間をとることで回避できます。濃度障害の観点からみれば、有機質肥料は安全性の高い肥料であると言えます。なかでも、魚かすは安全な有機質肥料の一つであると考えられます。魚かすは根強い人気があります。農家は経験的に魚かすの安全性を知っていたのかもしれません。 |