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有機肥料講座
8. 有機質肥料の欠点
目次
(1) 有機質肥料は施用直後には効かない
(2) 菜種油かす類は施用直後に発芽阻害を起こす
(3) 有機質肥料は多肥でガス害を起こすことがある 
(4) 有機質肥料を施用すると種バエなどの害虫を助長することがある
(5) 有機質肥料は肥効調節が難しい 
 
(1) 有機質肥料は施用後直ぐには効かない
  本講座第2章で説明したように、有機肥料は土壌中で分解してから作物に吸収されます。そのために、施用してから作物に吸収されるまでに日数を必要とします(第2章 有機質肥料の肥効特性参照)。また、分解性は温度に影響されますから、特に冬季は効き出すまでの時間が長くなります。追肥に使う場合は、効き出すまでの時間を考慮して早めの施用が必要です。反面、土壌のEC(塩類濃度)を急激に上げることがなく、濃度障害は、化成肥料より発生しにくいことが知られています(表8-2)。しかし、表8-2は、肥料の濃度障害は、作物の地上部より先に根の障害となって現れることを示しています。葉などに目立った障害はなくても、濃度障害を起こしている場合があり、やはり施肥量には細心の注意を払う必要があると言えます。
魚粕の分解は、温度による影響が小さく、比較的速効性で、追肥にも使いやすい優れた有機質肥料です。
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(2) 植物油かす類は施用直後に発芽阻害を起こす
  菜種油粕などの植物油かす類は、施用直後に発芽阻害が現れます。特に菜種油粕に強く現れます。直播き栽培する場合は、施用後2週間以上経ってから播種する必要があります。また、菜種油粕の発芽阻害物質は水に溶ける性質があり、硝酸化成を抑制する作用があることが分かっています。
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(3) 有機質肥料は多肥でガス害を起こすことがある
  有機質肥料は、土壌の塩類濃度を高めにくく、濃度障害は化成肥料より起こりにくい肥料です。反面、特に植物粕類は、亜硝酸ガス害などを発生しやすいことが知られています。尿素とともに、密閉した施設(特にトンネル栽培)では一度に大量に施用することはさけなければなりません。

a/2000ワグネル鉢に施肥した沖積畑土壌を詰め、7日後イチゴを定植、3週間栽培し、活着時の濃度障害を検定後した。つぎに同一ポットにサラダ菜苗を定植、1ヶ月後に高さ30cmのビニル被覆を施し、ガス害を検定した。
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(4) 有機質肥料を施用すると種バエなどの害虫発生を助長することがある
  タネバエは、特に有機物の発酵臭に引き寄せられると言われており、鶏糞などを施用すると発生しやすいと言われています。上手に作ったぼかし肥はタネバエの被害が少ないとも言われています。
 一般に稲わらや緑肥をすき込むとドウガネブイブイなどのコガネムシ類の幼虫による根の被害が多くなります。有機肥料でも、特に根菜類では土壌害虫の被害を出しやすいと言われています。
 
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(5) 有機質肥料は肥効調節が難しい
  有機質肥料は、土壌微生物によって分解(無機化)されることによって、肥効を発現します(第2章 有機質肥料の肥効特性参照)。その分解は、畑か水田か、土壌や微生物の状態、温度など様々な要因に支配されています。いわば、自然任せの面が強く、圃場によって効き方が変わってきます。作物の養分吸収特性と完全に一致させることも困難です。特に一発施肥を考える場合、肥効調節型肥料(コート肥料)にはかないません。同じ肥料を連用すると、その肥料を好んで分解する微生物が集積し、肥効の発現が速くなる場合があります。この点は、合成緩効性肥料のうち、CDUなどの微生物分解性肥料にも共通していえることです。分解に多くの種類の微生物を要する有機質肥料の方が、CDUなどに比べれば、連用による速効化は起こりにくいのは事実です。また、有機質肥料の様々な効果は連用によって発揮されてくることも事実です。
 有機質肥料だけで、生育期間の長い作物の一発施肥は不可能ですが、分解の遅い有機質肥料を使い、一発施肥に近づけることは可能です。たとえば、蒸製毛粉(フェザーミール)主体の複合肥料を水稲(コシヒカリ)に使って、ほぼ一発施肥を実現している例があります(図3-11・12)。
 追肥に有機質肥料を使う使う場合は、早めの施肥が必要です。その点では、液肥の方が使いやすい場合があります。反面、トマトやナスなどの果菜類は、栄養生長と生殖生長が連続して起こる作物です(図8-3~5)。過剰にならず少しずつ長く肥料が効いておく必要のある作物には、有機質肥料は適した肥料であるといえます。

■関連データー
図3-11・12 水田および畑地におけるフェザーミールの窒素無機化特性
図8-3~5 野菜の養分吸収特性からみた施肥
 
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